姿勢を保つために必要なインナーマッスル。インナーマッスルが衰えてしまうと姿勢だけではなく、内臓の位置が崩れてしまうこともあります。このインナーマッスルを構成する筋肉の一つが「腹横筋」です。
今回はこの腹横筋の鍛え方や鍛えることによる体へのメリットなどをご紹介していきます。
腹横筋とは?

腹横筋とは文字通り「腹」を「横切る」ように付着している筋肉です。腹部にある筋肉には腹横筋以外にも腹直筋・外腹斜筋・内腹斜筋がありますが、腹横筋はその中でも最も深い部分にある筋肉です。
腹横筋の別名はコルセット筋?

腹横筋はお腹を横切るようにして付着している形から別名コルセット筋とも言われている筋肉です。
そのため、腹横筋が弱まってしまうと体幹を支える機能が衰えてしまい姿勢が崩れたり、腰痛になったりしてしまいます。
腹横筋を鍛えることのメリット

①腹横筋を鍛えるメリット「姿勢が良くなる」
姿勢を保つ筋肉は背中側だけの筋肉だけではなく、腹筋も必要となります。そのため、腹横筋を鍛えることにより体幹部分の安定性が向上し、良い姿勢をとることができるようになります。
②腹横筋を鍛えるメリット「腰痛改善」
腰痛はケガなどの明確な原因がない場合は体幹の筋力が低下している場合にも起きる症状です。そのため、腰痛予防には体幹筋を鍛えることが重要となってきます。
腹横筋は先ほどもあげたように別名コルセット筋とも呼ばれる筋肉なので、腰痛を改善させるためには鍛えるべき重要な筋肉です。
③腹横筋を鍛えるメリット「バランス能力向上」
運動をするうえでバランス能力はとても大事な要素ですが、そのバランス能力を左右するのが腹横筋を含めたインナーマッスルです。
インナーマッスルはとても重要な筋肉なのですが鍛えにくい筋肉です。なのでしっかりと適切な姿勢・方法を学んでトレーニングを行いましょう。
腹横筋が弱いことのデメリット

①腹横筋が弱いことによるデメリット「下腹部太り」
腹横筋はお腹周りを支えて内臓を正常な位置に保つ役割をしています。
そのため、腹横筋が弱くなってしまうと内臓を支えることができなくなり、下っ腹がポコッとでた体形になってしまいます。
②腹横筋が弱いことによるデメリット「便秘」
腹横筋の機能の一つに力を込めると腹圧を高める効果があります。腹圧を高めることで分娩や排尿・排便の補助を行っているので、腹横筋の低下でいきむことができなくなり便秘となってしまうことがあります。
腹横筋は腹筋運動では鍛えにくい?

腹横筋は腹筋群の中でも一番深いところにあるため通常の腹筋運動では鍛えることがとても難しい筋肉です。
また腹横筋は脊柱の動きに大きく関与しないため、身体を動かしてもなかなか鍛えることができません。
腹横筋を鍛えるには腹式呼吸が重要
では、腹横筋を鍛えるにはどうすればいいのでしょうか?それはズバリ「腹圧を高める」ことです。腹横筋は体の動きにあまり関与しませんが、腹圧を高めるときには必ず働く筋肉です。そのため、腹横筋を鍛えるには腹圧を高める運動が良いでしょう。
そして、腹圧を高める運動として日常生活でできるのが腹式呼吸です。腹式呼吸は通常の呼吸と異なり、腹部を意識して深い呼吸を行います。この時に腹横筋が働くので腹横筋を鍛えるトレーニングとして腹式呼吸はとても重要な方法です。
腹式呼吸のやり方
腹式呼吸の正しいやり方
- ①仰向けになり、両膝を立てます
- ②鼻から息をゆっくりと吸い込みます
- ③息を吸ったときにお腹を膨らませます
- ④しっかりとお腹が膨らんだら、口から息をゆっくりと吐きだします
- ⑤お腹に手を当てながら行うと意識しやすくなるのでよりやりやすくなるでしょう
ドローインをマスターしよう

腹式呼吸ができるようになったら、より効果の高い方法として「ドローイン」という方法があります。ドローインは腹式呼吸と比べてよりお腹周りの筋肉を使う運動なので腹横筋へのトレーニング効果が高まります。
ドローインのやり方
ドローインの正しいやり方
- ①背筋を伸ばした良い姿勢となります。姿勢を正すことでより効果が高まります。
- ②口から大きく息を吐きだし、すべて吐ききります。息を吐きだす最中もお腹周りを意識しましょう。
- ③吐ききったら、お腹の横にギュッと力を入れます。お腹の左右からおへそに向かって力が加わるイメージで。
- ④お腹周りが硬くなっていたら正しく行えています。お腹を手で触り、硬くなっているか確認します。
ドローインの注意点
①ドローインの注意点「姿勢を正して行いましょう」
体が前や横に倒れている状態でドローインを行っても正しく腹横筋を鍛えることはできません。ドローインを行う際にはしっかりと背筋を伸ばして良い姿勢で行うように心がけましょう。
②ドローインの注意点「お腹周りを意識して行いましょう」
ただ単純に息を吐ききるだけだとトレーニング効果はイマイチになってしまいます。しっかりと息を吐きだしている最中にもお腹周りを意識してだんだんとお腹が硬くなっていくことを実感しながら行いましょう。
腹横筋オススメトレーニング
それではここから、ドローインを意識して行うことでより効果の高まるトレーニングを紹介していきます。
プランク
やり方
- ①腕立て伏せの姿勢となり、前腕と肘で支えます。この姿勢がつらい人はつま先ではなく膝で支えても良いでしょう。
- ②体をまっすぐ一枚の板になるように意識します。体がくの字や反ってしまうと正しくお腹に効果が出ません。
- ③その姿勢のまま目標の時間まで耐えます。はじめは30秒を目標として行うと良いでしょう。
プランクの注意点
プランクを行う際に身体がくの字や反ってしまうとお腹周りに効果が出にくくなってしまいます。また、腰などに負担がかかってしまうので身体はまっすぐ一枚の板になるように意識しましょう。
サイドプランク
やり方
- ①横向きに寝て膝を伸ばし、床側の手は肩の真下に置きます。体が丸まったりしないようにしましょう。
- ②床側の手は前腕と肘で支え、腰を床から持ち上げます。姿勢は胸を張り、肘が90度になるようにしましょう。
- ③天井側の手は、まっすぐ天井に伸ばします。この時バランスが崩れてしまうようなら、手は腰に当てるようにしましょう。
サイドプランクの注意点
サイドプランクは普通のプランクと比べて、バランスがとりにくく特に前方へとバランスが崩れやすいのでしっかりとお腹周りを意識してバランスをとって行うとより効果が高くなります。
片足プランク
やり方
- ①腕立て伏せの姿勢となり、前腕と肘で支えます 。この姿勢がつらい人はつま先ではなく膝で支えても良いでしょう。
- ②体をまっすぐ一枚の板になるように意識します。体がくの字や反ってしまうと正しくお腹に効果が出ません。
- ③片方の足を床から持ち上げます。足は高く持ち上げず、床から少し離れるくらいの高さを意識しましょう。
- ④その姿勢のまま目標の時間まで耐えます。はじめは30秒を目標として行うと良いでしょう。
片足プランクの注意点
片足プランクは通常のプランクよりも負荷が高く、より難易度が高いものになります。そのため無理にやろうとすると目的の筋肉とは別の筋肉に負担がかかってしまい痛みが出ることも考えられるので、まずは通常のプランクが安定してできるようになってから挑戦するようにしましょう。
上級者向け腹横筋トレーニング

それではここからはプランクでドローインをマスターした方に向けて、より強度が高く効果があるトレーニングを紹介していきます。これから紹介するトレーニングもプランク同様、ドローインを意識して行うことで効果を高めることができるので、しっかりと意識して行っていきましょう。
ヒップリフト
ヒップリフトのやり方
- ①仰向けになり、両膝を立てます。手は体の横に掌を下向きにしておきましょう。
- ②お尻を床から持ち上げて、膝とお腹がまっすぐになる位置まで持ち上げます。お尻とお腹の筋肉を意識して持ち上げるとより良いでしょう。
- ③より負荷を高めたい方は、お尻を上げた位置で停止し片方の足を膝を伸ばして持ち上げます。持ち上げた足のほうに身体がバランスを崩さないように注意しましょう。
- ④さらに効果を高めたい方は、床からお尻を上げるときに一緒に片方の足を膝を伸ばして持ち上げます。こちらも③と同様に持ち上げた足のほうにバランスを崩さないように注意しましょう。
ニートゥチェスト
やり方
- ①床に座り、手を身体より後ろにつきます。足は揃えて、膝を軽く曲げましょう。
- ②お腹を意識しながら膝と胸がつくように足を引き上げます。背中を少し丸めて行うと腹部の筋が使いやすくなります。
- ③十分に足を胸のほうへと引き寄せたら、元の位置まで足を伸ばします。ゆっくりと行うことでよりトレーニングの効果が高まります。
V字腹筋
やり方
- ①仰向けになり、両手足を伸ばします。手は指先までしっかりピンと伸ばしましょう。
- ②足を上げ、同時に手を足の方へと近づけていきます。体を丸めず、股関節から曲げるようにしましょう。
- ③手の指先がつま先についたら、元の仰向けに戻ります。この運動もゆっくりと行うことでよりトレーニングの効果が高まります。
おすすめのトレーニング・ストレッチ頻度

筋力トレーニングに関しては、週に3回を目安として1日2~3セットを行うようにしてください。ストレッチも筋力トレーニングを行った後に合わせてやるようにしましょう。
腹横筋はお腹の深いところにある筋肉なので、筋力トレーニングをおこなった後には筋肉痛でお腹に痛みが出ることも考えられますが、それは筋肉を正常に鍛えられている証拠です。筋肉痛は通常2~3日程度で回復しますが軽く筋肉を動かしてあげることでより早く回復させることができます。そのため、ストレッチや軽いウォーキングなどを行うと自然な回復を早めることができます。
まとめ
今回は腹横筋の知識とトレーニング方法を紹介しました。なかなか目に見えてわかる筋肉ではないため軽視されがちな筋肉ですが、身体にとってとても重要な働きをしている筋肉です。ここで紹介したトレーニングを行って、健康な身体を手に入れましょう。